『野性の呼び声』で日本でも知られる作家ジャック・ロンドンは、友人や知人、お世話になった人たちに、よく自著を贈った。そんな本の一冊が運よく、手に入った。
12月初旬に開かれたオークションに出品されていたロンドン関係の書籍の一冊で、かなり貴重な本。予想価格もかなり高額だった。落札は無理だろうとは思ったものの、オークションに参加もしないで、諦めてしまうのは惜しいと思って、オークション開始価格+αで入札しておいたら、落札できたのだった(『Moon Face』の初版本も格安で同時落札@写真)。
ロンドンの代表作のひとつ『マーティン・イーデン』(1909年)の初版第二刷で、見開きには献辞が書かれている。
親愛なるフレッド、
で、 ぼんくらな書評家どもは、この本が個人主義に対する攻撃だってことを分かっていない。マーティン・イーデンは、個人主義者すぎて、世の中には困っている人がいるってことに気づけなかった。おかげで、自分が夢みていた幻が消えてなくなったとき、生きてゆく目的もなくしてしまった。だから、彼は死んだのさ。
では、また。
1909年11月23日
ジャック・ロンドン
「フレッド」こと、フレデリック・バムフォードは、オークランド公立図書館の司書。ロンドンの友人で、ともに社会主義を志した。ラスキン、カーライル、モリスなどの著作を紹介した人物でもある。本の扉にはバムフォード自身のものと思われる署名も入っている。
絶対の確認はないけれども、実際に本を手にしてみたら、20年近く前に、オークランド公立図書館のジャック・ロンドン・ルーム(別室としてジャック・ロンドン広場近くにあり現在は閉鎖)を訪ねたときに目にした本なのではないか……多分そうに違いない、という気がしてきた。
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